薄暗い部屋の中に黒鴉と小波の二人だけが残された。
先程まで小波の傍にいた禿の姿も今は見えない。
いつまでも部屋の隅に立っていてもラチがあかない。
取り敢えず封印の儀式を執り行わなければ・・・
そう思った黒鴉が小波の傍へ歩み寄ると、少し開いた襖の向こうに
一組だけひかれた豪奢な布団に枕が二つ並べられているのが
目に入った。
「!!」
いくら真面目な黒鴉でもこれが何を意味しているかは解る。
「小波殿・・・これはどういう・・・」
うろたえる黒鴉の手を取り、小波が微笑みながら襖の向こうへと導こうとする。
「ねずみから何も聞いてないでありんすか?
わっちを封印するということは、すなわち・・・
わっちを貴方様の一夜限りの仮初めの妻にするということでありんす」
「つ・・・妻ぁ〜?!い・・・いや・・・それは・・・
わ・・・私には心に決めた方が・・・」
「ねずみからそのことは聞いてますえ・・・でも、これはただの封印の儀式・・・
貴方様がわっちを封じるだけのことでありんす。それに・・・」
言葉ではそう言いながらも小波は誘う様に瞳を艶めかし
黒鴉を見つめる。
「その心に決めた方とそのうちには閨を共にする時もあらっしゃいましょう。
その時にお互い初めてではコトは上手く成就しませんえ。
やはりこういうことは殿方が慣れていないと相手の方が可哀想でありんす」
この言葉に黒鴉も
−−−成る程、そういうものかも知れない・・・−−−
と、思った。
今まで仕事と武術の訓練に明け暮れ、終ぞこんな機会には恵まれなかったが、
武術の訓練も積めば積むほど上達するではないか・・・
それに・・・
−−−生娘のネコ娘殿に私が慣れていない所為で辛い思いをさせてはいけない・・・−−−
黒鴉は意を決し、小波と共に襖の向こうへ足を踏み入れた・・・
一方、ねずみ男は部屋を出た後、禿に案内させ、儀式が覗ける隠し部屋へと来ていた。
ねずみ男にそういう趣味があるかどうかは知らないが、
ここへ来たのには理由がある。
顔を合わせれば何かとねずみ男に口煩い黒鴉の乱れた姿を携帯で撮り、
彼の弱みを握ろうというのだ。
それに、『四十七士探しを真面目にしてない』と、鬼太郎に言い付けたことが
彼の怒りの炎を大きくしたようだ。
−−−ネコ娘に見せるって、ちょいと脅かせば
奴は黙るしかないって寸法よ!ザマ〜みやがれってんだ!!−−−
隠し部屋にいるねずみ男の耳に衣擦れの音が届いた。
−−−いよいよ始めやがったな・・・小波ちゃん、予定通り頼んだぜ・・・−−−
真赤な長襦袢姿の小波がスルスルと黒鴉の衣を脱がせていくと
彼は今時珍しく白い褌を身に着けていた。
その布の中央はもう既に持ち上がり、少しの刺激でも爆ぜてしまいそうなのを
黒鴉は必死で耐えていた。
が、小波の手が布の上から彼自身を撫でた途端
−−−うっ・・・−−−
小さな呻き声とともに布の中に吐き出してしまった。
荒い息使いの黒鴉の白い褌の紐を小波は解き、体液で汚れた彼自身を口に含む。
二又に分かれた長い舌がチロチロと動き、その刺激と彼女の口内の心地良さに
また直ぐに駆け上がって来たものを我慢できずに小波の口の中へと注ぎ入れた。
既に二回も吐き出したというのに、初めて知った快感に彼自身は治まることを知らないように
力を回復させる。
「頼もしいお方でありんすなぁ」
小波は満足そうな笑みを零すと黒鴉の手を自分の胸へと導く。
遠慮がちな彼の動きがもどかしく、まるで焦らされているようで
いつもとは違う快感を小波に与える。
「もっと貴方様を味わいとう御座います・・・」
彼女は白蛇だった下半身を二本の足に化え、黒鴉を跪かせると
自分は立ったまま長襦袢の裾を割り、片足を黒鴉の肩に乗せた。
今、初めて見る熟れた赤い果実が、透明の蜜を溢れさせ
彼の目の前に差し出された。
小波が黒鴉の頭を両手で押さえ、その果実へと誘うと
彼の舌が蜜を舐めとり、溢れ出す中央へと差し入れられる。
「あ・・・いい・・・ねずみとは比べ物にならない・・・あぁ・・・」
これには隠し部屋で懸命に写真を撮っていたねずみ男の手も止まる。
−−−チェッ!どこが違うっつ〜んだよ!!
それにオレの時はずっと半身白蛇だったじゃねぇか!−−−
憤慨しながらもまたねずみ男が、穴から隣の部屋を覗くと
今度は布団に横たわった黒鴉の上に小波がちょうど座ろうとしていた。
カシャッ!!
黒鴉と小波が重なる決定的瞬間を撮ったねずみ男はこれ以上ここにいても
バカらしいだけだとソッと部屋を出て行った。
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