私めの裏作品「どこまで・・・」の
ネコ娘リベンジ編として
「五っ茶弐」津浦ヒノ様が
素敵な作品を贈ってくださいました。
ヒノ様。ありがとうございましたv






「・・・・・・・・・・・・・・ネコ娘」



親父さんがいない二人きりの時間。
鬼太郎がいつもと違う、吐息混じりの甘い声で私の名前を呼ぶ。
それはとてもうれしくて、恥ずかしくて、そしてドキドキする。
いつもは優しいけどどこか素っ気ない彼がこの時、何を求めているか私はもう知っているから。



・・・・・・・・・・・でも、答えてあげない。




【好奇心、ネコを・・・】




「・・・・・・・・・えっ?ネコ娘・・・??」
「ほどいちゃダメよ、鬼太郎。これほどいたら絶対口利かない」
いきなり目隠しをされて鬼太郎が戸惑いの声をあげる。
熱く甘い声で私の名前を呼びながら近づいてくる鬼太郎を制して、自分のリボンを解いて彼に目隠しした。
あの眼で見つめられると、これからしようとしていることがまったく出来なくなりそうだったから一番に塞いだけど、本当はとても怖い。
彼が・・・・拒むんじゃないかって。
でも鬼太郎は意外にもおとなしくしてくれた。
次はどうするの?と言わんばかりで口元にはかすかに笑みが浮かんでいる。
「・・・・・・両手・・・前に出して」
少し、声が震えた。
私の動揺を知ってか知らずか、彼は素直に両手を前に差し出してくる。
それはまるで罪人が拘束される様を思い浮かばせ、彼にそんなことをさせたことを心底、悔いる。
でも後には引けない。
ポケットに入れていた柔らかい紐で彼の両手を軽く縛る。
ふふっと鬼太郎が笑った。
「ネコ娘、そんなに緩く縛ったら解けちゃうよ」
彼の口調は愉しげだ。
ちょっとそれに安心する。
「いいの。これも解いたら・・・・ダメだからね・・・・」
ゆっくりと鬼太郎に覆いかぶさり、その唇にそっと触れる。
鼻同士が触れ合い、少し乾いた唇の感触に目を閉じる。
「ん・・・」
ちゅ・・・・・ちゅっ・・・。
何度も何度も彼の唇をついばむ。
くすぐったそうに鼻を鳴らす鬼太郎はもどかしいのかわずかに手を上げかけて・・・そして縛られていることに気づき、動きを止める。
それを横目で確認して、ようやく私は自分で思い描いていた“鬼太郎への復讐”を試みた。


彼とこういう関係になれたのはうれしい。
ずっとずっと今の姿よりまだ幼い時から彼が好きで、大好きで、いつか彼のお嫁さんになれることを夢見てきた。
普段だらだらと過ごしたい彼がひとたび事件が起こるとわが身を顧みず満身創痍になってまで誰かを助けようとするのを少しでも手助けしたくて、傍にいたくて。
想い続けていた彼にこうして求められるようになったこと、これほど自分が女でよかったと思えたことはない。
だけど、彼はとても、とても・・・・本当にとても───意地悪だ。
女の子の気持ちとしては、もっと甘く幸せになるような愛の言葉を囁かれて、身も心も蕩けるような幸福感の中で抱かれたいと思うのに。
あ、幸せじゃないとかじゃないよ。
鬼太郎に抱かれてるときは・・・・その・・・とても気持ちいいし、いろんなものが満たされてるし。
でも、でもね。そのたびにすっごく恥ずかしい事を言ったり、したりするのはないんじゃないかな〜と思うわけよ。
この間だって着物の着付けを練習してて紐が絡んで身動きが取れなくなった時に鬼太郎が言った言葉、何だったと思う?

────『こういう趣味なら言ってくれればいいのに』

趣味!?
趣味ってなによっ。
わ、私が縛ったり縛られたりするのが好きって事!?
んも〜っ、信じらんない。
鬼太郎ったらそのままの格好でしちゃったのよ。
わざわざ目隠しまでしてっ。
そ、そりゃあ燃えたかといえば・・・私もその気になっちゃったわけなんだけど・・・・・っ(もごもご)。
でもひどいと思わない?
いつもいつも鬼太郎は私が恥ずかしくて出来ない事を言わせたり、させたりするんだから。
私が鬼太郎に逆らえないこと知ってて!
だから復讐してやることにしたの。


「ん・・・ネコ娘・・・・」
ちゅっ、ちゅっとただついばむだけのキス。
唇だけじゃなくて、両頬、低い鼻の頭、リボンに隠された右目。そして髪の上から右目・・・。
顔中至るとこに口づける様を鬼太郎は焦れるように身動きする。
「ん、ダメよ・・・・・・」
その先を強請るような動きを制しながら、彼の耳元に口を近づけて甘く囁く。
その声は自分でも驚くほど熱っぽくて、自分で自分の体に火が灯った。
「動いたら・・・・やめちゃうから・・・・」
ぱくっと耳たぶをくわえる。
「うあっ」
びくんと鬼太郎の身体が跳ねた。
それに気を良くして、今度は舌を這わせてみる。
耳の形をなぞるように丁寧に辿って、彼がいつもするみたいに耳の穴に舌を差し込んだ。
「ね、ネコっむすめ・・・っ」
ぎゅっと拳が握りこまれるのが腹部に当たる感触で分かった。
私は胡坐を組む鬼太郎の膝に足を広げて乗り、身体を密着させながら大胆に攻めた。
彼を抱きしめ、背中にまわした手で慰めるように背中を撫で擦り、滑らせるように肩から二の腕のラインを辿る。
熱い・・・。
熱くて・・・。
溶けそう・・・・・。
「んぅっ」
再び唇に口づけ。
今度は啄ばむ様なバードキスではない。
どちらともなく熱く濡れた唇は吸いつくように馴染み、深く深く口づける。
待ってましたといわんばかりに鬼太郎の舌が差し込まれる。
それに負けまいと私も彼の舌を捕らえようと彼の頬を両手で挟み込み、固定させて彼の舌を追う。
淫らな水音が脳髄を蕩けさせる。
「んあっ!!」
突然、下腹部に刺激が走り、思わず喉を反らして仰け反った。
彼とを繋いでいた銀の糸が放物線を描いて切れる。
鬼太郎が指を伸ばしてスカートの中に潜り込んだのだ。
もう彼も反応が出ているらしく、下に目を向けると立ち上がっている様が見えた。
「パンツ、濡れてるよ。ネコ娘」
頬をいつになく上気させた鬼太郎がそう言って指を動かす。
「あっ、あんっ、だ、ダメ・・・だよぉ〜・・・。動いたら・・・解けちゃう・・・」
「なら・・さ。顔ばっかりじゃなくて・・・他もしてよ・・・」
「他?」
にゃあ〜と私の顔が綻ぶ。
「ここ?」
彼の顔を上げさせ、その露わになった首筋に吸いつく。
思わず強く吸いついたせいか、赤いうっ血した跡が付いた。
それを見て自分にいつも散らされている赤い花びらを思い出す。
学童服のボタンを上から外し、露わになった鎖骨、そして胸板に唇を落とす。
「ね、ネコ娘!?」
「男の子も乳首、感じるの?」
露わになった胸に指を這わしながら、指先に当たった粒の感触を楽しむ。
くりくりと弄っていると女の子みたく硬く尖った。
「ふぅん、感じるんだ〜」
面白いなと思って妙に感心してると、むっとしたらしき鬼太郎が下着の上からなぞっていた指を隙間から中に入れてきた。
くちゅりと音がする。
「にゃあっ、きたろぅ」
「もうぐちゅぐちゅじゃないか。僕の指が簡単に入っちゃうよ」
「にゃっ、にゃうっ、やぁ、ダメぇ・・あぁ、そこ・・・・あああっ」
違う指で隠れた肉芽を剥きだされ、集中的に弄られる。
びくびくとしなる身体。
頭の中が真っ白になって・・・・・飛んでいっちゃいそう・・・・。
すると果てを見る前に鬼太郎の指が止まる。
「あ・・・き・・・たろ・・・・?」
潤んで蕩けまくった瞳でぼんやり彼を見下ろすと、彼は熱い吐息を吐きながらこちらを見上げていた。
「続けてほしい?なら・・・・解るだろ?」
こくんと一つ頷き、少し彼から離れる。
震える手でもどかしくズボンの紐を緩め、屹立したモノを取り出す。
もうソレは天を突かんばかりに仰いで、先端からヌラヌラと雫を垂れ流して淫靡に光っていた。
鼻につくオスの匂い。
密着していたせいか、熱のこもった二人の空間にあってそれは自分のメスの匂いと交って、もうそればかりしか考えられなくなった。
下着だけ取り除いて、それがおもらしをしたかのようにひどく濡れていることを知り、どれほど自分が興奮していたか知らされる。
もうこれだけ濡れていれば大丈夫。
普段なら絶対自分からなんてしないけど、今回はもう理性なんて残ってなかった。
再び鬼太郎に跨り、彼の雄芯を支えて腰を落とす。
「んぅ・・・・あああっっっ」
入ってくる感触に身を震わせると同時に鬼太郎が動いた。
後は二人で果てを見るだけだった。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・んっ?」
気づけば目の前に広がるのは天井。
あれ?と瞬く。
自分の身体をしっかりと抱きしめ、鬼太郎が私の胸で顔を伏せていた。
ん?
抱きしめている
「きたろぉ」
「うん?」
がばっと起き上がるとその衝撃に鬼太郎が驚いたように身を起こした。
見ればその両手は自由になっている。
私の視線が何処を向いているのか気づいたのか、鬼太郎が視線を下に下げ・・・そして手をブラブラさせた。
「あ〜・・・・いつのまにか解いちゃったみたいだね・・・・」
少しバツが悪そうに呟く。
はぁ〜と私はため息をつく。
そして彼の目を塞ぎ続けていたリボンを解いてあげる。
「ネコ娘?」
んもぉ〜、そんな心配そうな顔しないでよ・・・。
「解ってくれた?」
すると鬼太郎はぱちぱちと目を瞬かせた。
「なにが?」
んもぉ〜、ちっとも解ってないっ。
「好き勝手されるの、イヤでしょ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、そういうこと。」
ふふっと鬼太郎が笑う。
な、何だかちっとも堪えてない。
「いつも私がどーゆー気持ちか少しは理解してくれた?」
逆らえないって知ってて好き勝手されるのがどれほど悔しいか、少しはこれで鬼太郎も思い知ればいい。
そう思ってたのに・・・。
「でもさ、あれは少し物足りないよ」
「へ?」
「攻めるなら・・・これくらいしないと」
「ち、ちょ・・ちょっとっ、きたろぉっ!?」
やおら押し倒してくる鬼太郎に私は目を白黒。



この後、散々攻められて・・・・。
足腰が立たず、結局私はその日鬼太郎の家に泊まることになってしまった。
茶碗風呂に入る親父さんに鬼太郎が言った言葉は何だったと思う?

「ネコ娘もやっぱり猫なんですね。『好奇心、猫を殺す』って言われますけどまさかネコ娘もそうだったとは知りませんでしたよ」

──────それってどういう意味!?











父さんのお風呂の湯を足しながら横目でちらりとネコ娘を見ると、彼女はふくれっ面ながらも首を傾げていた。
ふふ、言った意味が解ってないかな。
ちょっと煽っただけで思うように動いてくれる猫の習性を利用したお遊び。
見事に引っかかってくれたネコ娘に笑みが抑えられない。
でも、気をつけなきゃ・・ね。
このネコが僕だけに引っかかってくれるとは限らない。
さてさて、今度はどんなふうに彼女の気を引こうかな。

君はもう、僕から逃げられないのだから─────────



《fin》


            
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