Edible Flowes


ゲゲゲハウスの窓から入って来る春風と共に鬼太郎はネコ娘の気配を捉えた。
どうやら彼女は真直ぐこちらに向かって来るようだ。
それまで寝ころんでダラダラしていた鬼太郎だが、すぐに起き上がり身の回りを片付けた。
暫くすると・・・

「鬼太郎!いる?」

入口の簾を上げ、ネコ娘が顔を覗かせた。

「いらっしゃい。ネコ娘・・・上がっておいでよ」

「うん!」

靴を脱ぎ部屋の中を見回すが、目玉の親父の姿はない。

「親父さんいないんだぁ・・・折角二人に珍しい物、持って来たのに・・・」

「珍しい物?」

「うん!これ・・・“エディブルフラワー”っていって食べられるお花なの」

そう言って手に持っていた白い箱を開くと、中には沢山の薔薇の花が入っている。

「凄くいい香りがするでしょ?!」

ネコ娘は鼻をクンクンさせて同意を求めるが、
鬼太郎は笑顔を作っただけで、それには何も答えなかった。
彼にとって薔薇の香など問題にならない程、彼女の甘い香りに先程から身も心も擽られているからだ。

「どうやって食べるんだい?」

「そのままサラダにしたり、お菓子にしたり・・・いろいろ出来るのよ」

「へぇ〜・・・」

「ねっ!珍しいでしょ!薔薇を食べるなんて、なんかロマンチックだよね〜!」

ウットリした表情でそういうネコ娘に鬼太郎は意地悪な笑みを浮かべ囁く。

「そんなに珍しいかな?ボクはもう何度も口にしてるよ」

「えっ?そうなの?」

彼が薔薇を食べてる所なんて今まで一度も見たことがない・・・怪訝な顔をするネコ娘に
鬼太郎は箱からピンクの薔薇を一つ摘み出し、彼女に見せつける様に
花の中心に溜まった露をその舌で絡め取り口に含む。

「!!」

彼の行為の意味をすぐに理解したネコ娘が頬を朱に染め
戸惑った表情で顔を逸らす様子を鬼太郎の隻眼が楽しそうに見つめ、
それからゆっくりと彼女に近づくと、頬と同じ様に朱に染まった少し尖った耳に
熱を帯びた声で優しく囁いた。

「ボクにご馳走してくれるかい?・・・キミの薔薇の花・・・」

ネコ娘の肌理の細かい透き通るような白い肌が羞恥で朱に染まる様は
まるで白い蕾が咲くにつれ色付くのと似ている。
彼女にそのつもりは無いことは分かっていても、その身から発せられる甘い香りと潤んで濡れた瞳は
蝶を誘う薔薇そのものだ。
ネコ娘は鬼太郎にとって、食べても食べても味わい尽くすことも飽きることも無い
この世にたった一輪だけ咲く自分だけのエディブルフラワーなのだろう・・・

鬼太郎の薄い唇がネコ娘の柔らかく温かい唇と重なり、彼の舌が彼女の口内を弄った。
お互いの舌が絡み合う程に彼女の顎を唾液が伝い落ちる。
息苦しさにネコ娘が舌の動きを止め唇を離そうとするが、鬼太郎がそれを許さない。
舌を絡め取られ無防備になった彼女の服を緩々と脱がすと、
そのしっとりと吸い付くような肌理の細かい肌にまだ先日の名残が薄っすらと残されていた。

白い首筋に冷たい唇が這わされ、彼女が身に着けていた最後の小さな布が
彼によって剥ぎ取られた。
胸のピンクの蕾を舌で転がし吸い付くと彼女の身が小さく跳ねる。
暫くそのまま蕾に戯れていた唇が徐々に彼女の身体を下がり、
両足に隠された彼女の薔薇に辿り着き顔を近づけると
薔薇は蜜を滴らせ甘い香りを放ちながら鬼太郎を誘っている。

舌と指を蜜壺に差し入れ、彼はわざと淫猥な水音をたてた。

「キミの薔薇はデザート用だよねぇ・・・ほら、蜜がこんなに・・・」

彼が蜜を絡み付かせた指をネコ娘の目の前に差し出し、
それを彼女のザラザラとした舌が舐め上げ口に含む。
まるで鬼太郎自身を愛撫するかのように・・・

「上手だね・・・ネコ娘・・・」

彼女のその行為をまだ眺めていたいが、彼の脈打ち隆起している部分も
もうとっくに先を濡らし滴らせていた。

楔が濡れた薔薇入口を何度も撫でると、その度にくちゅくちゅと水音をたてる。
その恥かしい水音と、早く貫かれたいのに焦らされる切なさで、
ネコ娘の艶を帯びた瞳が潤み、涙が零れた。
その涙を舌で拭う鬼太郎の隻眼が

『欲しいのならちゃんとおねだりしなきゃ・・・ねぇ・・・』

意地悪く弧を描いている。
おねだりなんて恥ずかしい・・・そう思う反面、ネコ娘の身体をゾクゾクした快感が襲う。
鬼太郎によって教え込まれた身体は、すでに羞恥心が快感にすり替わる様になっていた。

「・・・きたろぉ・・・焦らさないで早くぅ・・・」

ネコ娘の手が鬼太郎自身に伸び、腰を揺らめかして自ら迎え入れると
それまで焦らされていた分、彼女の身体に波が押し寄せる。

「にゃっ・・・あん・・・にゃぁぁん・・・」

白い首を逸らし軽く達するネコ娘の姿に鬼太郎の腰の動きも激しさを増した。
楔が行き交う度に彼女の胸が揺れ、白く透き通るような肌が汗を滲ませ薄っすらと朱に染まる。

「きたろ・・・にゃぁ・・・もう・・・イっちゃ・・・」

イヤイヤをするように首を横に振るネコ娘の胎内が鬼太郎自身を一段と締め付け
彼女は大きな波に呑まれていく。
と、同時に鬼太郎もまた、駆け上がって来る熱を彼女の胎内奥深くに注ぎ入れた・・・





ネコ娘が目を開けると鬼太郎が身支度を整えている処だった。

−−−親父さん・・・帰って来ちゃう・・・−−−

彼女もゆっくりと起き上がり、散らばった衣服に手を伸ばす。
すると・・・
胎内からトロリと生暖かい白濁液が滴れ、思わず

「にゃ・・あん・・・」

頼り無げな甘い声を上げた。

彼女のその声、頬染める表情・・・そして両足の間から滴れる彼の体液・・・
鬼太郎の隻眼が釘付けとなり、見る見るうちにまた一か所に熱が籠る。
が、鬼太郎はそんなことはおくびにも出さず、薔薇の箱を手に取ると
ネコ娘に尋ねた。

「食べられる花って薔薇だけなのかい?」

「うぅん・・・パンジーとかスイートピーとか・・・他にもいろいろ・・・」

身支度を整えながらネコ娘が答える。

「へぇ〜・・・じゃぁ・・・」

そう言いながら彼女に近づく鬼太郎の唇が薄い笑いを象っている。

「ボクにご馳走してくれるかい?・・・キミの麝香連理草・・・」(
麝香連理草:スイートピーの和名

鬼太郎の指がネコ娘の顎を軽く持ち上げる。

「で・・・でも・・・ほらっ!もう親父さん帰って来る頃でしょ?!」

頬染め、精一杯の笑顔で鬼太郎の気を逸らそうとするネコ娘だが
そんなことで獲物を逃がす鬼太郎では無い。

「父さんなら当分は帰って来ないよ・・・だって・・・」

鬼太郎は言い掛けた言葉を飲み込みクスリと笑った。
ネコ娘には決して言えない言葉の続き・・・

・・・だって、さっき帰って来た父さんは中の様子に気付いて
   子泣きの処に行ったからねぇ・・・


             終


           
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