その後で・・・


  「鬼太郎!ポストに手紙が届いてたわよ」

「ありがとう。ネコ娘」

鬼太郎は手紙を受け取ると目玉の親父と共に読み始めた。

「父さん・・・」

「うむ・・・既に6人も行方不明とは・・・妖怪絡みのようじゃな」

険しい鬼太郎の表情に心配になったネコ娘も手紙を覗く。

《はじめまして。私は藪ノ中高校1年の恩田 亜美 です。》

そう始まった手紙の内容は・・・

彼女の通う高校で最近3組の男女、合計6人もの生徒が行方不明になっていた。
最初は家出だろうと思われたが、立て続けに3組・6人ともなると単なる家出とは思えない。
それにいなくなった中の一人の靴が校舎裏にある小さな祠の前で見つかったのだ。
鬱蒼と茂った竹藪の中にポツリと誰参ることもなく佇む祠。
いつ頃からか生徒たちの間でその祠の前でカップルが肉体的に結ばれると
永遠に二人は離れないと噂になっていた。
きっとどこからも見られない場所にあるので、誰かがそんな噂を流したのだろう・・・

《最後にいなくなった女生徒は親友の博美です。
 ゲゲゲの鬼太郎さん。どうかいなくなった博美とみんなを助けてください。》

「兎に角、依頼人に詳しい話を聞きに行きましょう」

「早急に手を打たねばなるまい」

「ちょ・・・ちょっと待ってよぅ!私も行く〜!!」







 「君が手紙をくれた亜美ちゃんだね」

長い黒髪の乙女が小さく頷く。

「何かを祭っていた祠と云うよりは封印していたのやも知れんのう」

鬼太郎の髪の間から目玉の親父が顔を出す。

「キャッ!な・・・何?」

「あぁ・・・ボクの父さんだから心配いらないよ」

「・・・は・・・はい」

「亜美ちゃんはその祠見たことあるの?」

「博美がいなくなって何か手掛かりがないかと・・・行きました」

親友の身が心配なのだろう・・・亜美の目からポロポロと涙が零れる。

「大丈夫!大丈夫よぅ!!鬼太郎が博美ちゃんも他の子たちも助けてくれるわ!
 ねっ!鬼太郎!」

「うん。ボクが絶対に助ける!約束するよ」

二人の言葉に泣いていた亜美に安堵の笑顔が戻り

「宜しくお願いします」

深々と頭を下げた。






 ゲゲゲハウスに戻ると目玉の親父はネコ娘に彼是と指示を出し、彼女は何処かへ飛び出して行った。

「潜入捜査じゃ!鬼太郎はネコ娘を連れて、藪ノ中高校へ潜入するんじゃ!」

「それは無理ですよ。ボクじゃぁ、とても高校生には見えません」

「考えがある!砂掛け!!」

「大特急で調合してきたわい。鬼太郎。頭をこっちへ・・・」

鬼太郎が砂掛けの前に頭を出すと、パラパラパラ・・・壺の中の砂を掛け始めた。

ボヮヮヮ―ーーーーーーーーーン・・・・・・

見る見る鬼太郎の身長が伸び、顔から幼さが消える。

「ただいま〜♪藪ノ中高校の制服調達してき・・・にゃっ!鬼太郎?!!」

頬染め瞳を輝かせて鬼太郎を見つめるネコ娘の視線がなにやら照れ臭く擽ったい。

「変かな?」

「にゃぅ〜ん!そんなことにゃいよぅ!」

父として息子・鬼太郎とネコ娘の間に流れるいい雰囲気をこのまま壊したくはないが
事は急を要する。
目玉の親父はひとつ咳払いをすると、口を開いた。

「ネコ娘。ねずみ男はどうじゃった?」

「バッチリ!フラフラ歩いてる処をとっ捕まえてやったわ!高校の編入届、すぐに作る筈よ!
 アイツ、文書偽造はお手の物でしょ!」

楽しそうに笑うネコ娘・・・行く先にどんな危険が待ってるかも解らないのに・・・
きっと彼女は鬼太郎と一緒なら、不安など微塵も感じないのだろう・・・

−−−キミのことはボクが必ず守る・・・−−−

鬼太郎の隻眼に零れそうな笑顔を湛えたネコ娘が映し出されていた・・・


其二は裏ページに掲載


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